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母指MP関節側副靭帯損傷
目次
A. 母指MP関節側副靭帯
側副靭帯の役割は、関節の安定性を保つことです。
特に左右への不安定性と掌側への不安定性のコントロールです。
この靭帯が断裂すると親指全体が手のひら側に落ちます。
尺側と橈側の靭帯損傷があります。
母指のMP関節側副靭帯はものを持つ、つまむ際に他の4指と対向して力を入れる時に母指の支持組織としては大変重要な靭帯であり、損傷により疼痛と不安定さが生じます。
受傷機転
ぶつかる、圧迫される、ものを持った状態で転倒する( ストックをもって転倒した際に発症し易いためにスキーヤーズサムと呼ばれていた)、体幹から離れた方向に引っ張られる、親指をねじられる等により靭帯の損傷が生じます。
断裂する靭帯により
1．尺側側副靭帯損傷（いわゆるスキーヤーズサム）
2．橈側側副靭帯損傷
に分かれます。
頻度は尺側側副靭帯損傷が多く、靭帯上を被う筋膜の上に断裂断端が翻転して出てしまうことがあり(ステナリージョン：Stener lesion)ます。
この場合は手術の絶対適応です。
症状
母指MP関節が腫れます。
また、物を握ると痛みが生じ、親指が逃げてしまい不安定感があります。
気が付かないうちに断裂していることもあります。不安定感があまりなくても、疼痛が続くことがあります。
ビデオは橈側側副靭帯が断裂したものです。母指がぐらぐらします。
治療
不安定性がそれほどなく、疼痛だけの場合は、スプリントによる固定（3～6週間）で改善します。スプリントについてはこちらをご覧下さい。
関節包が断裂して、疼痛が継続する場合があります。
保存的治療で改善がない場合は、早期であれば、直接縫合します。
尺側のstener leisionがあれば、手術の絶対適応です。
受傷から時間がたってしまっていると腱を使用した再建術が必要になります。
B. 指側副靭帯損傷
（示、中、環、小指）
受傷機転
ロープに指が絡まったり、ボールがぶつかる、転倒した際に指をぶつける等で生じます。
どうすればいいか
絡まったり骨損傷の合併が考えられますので、画像診断(レントゲン、MRI)を行った方がいいと思います。
治療
受傷早期であれば、3～4週間の固定、スプリントで治癒します。
側副靭帯は関節外の組織であるために安静が守られると自然に癒合します。
陳旧例では、靭帯再建が必要になることがあります。まずはご相談ください。
当サイト監修医は
柏Handクリニック院長です
当サイトを監修している田中利和は、千葉県柏市の柏Handクリニックにて、手（指・手首・ひじ）の疾患に特化した診察・治療を行っております。
2020年の開院以来、手の症状でお困りの多くの方にご来院いただいております。
日本整形外科学会専門医・日本手の外科学会専門医の資格を持った手の専門家として、患者さんと一緒に、より良い治療を一緒に考えていきたいと思っております。
