尺骨突き上げ症候群は手首の骨と前腕の骨がぶつかりあい、軟骨を痛めたり、関節が炎症をおこして起こるものです。
ドアノブを回したり、ぞうきんを絞るなどの日常動作で痛みが生じます。外傷と必ずしも関係していませんので、痛みがある場合にはケガをしていなくても受診してみましょう。
こちらでは尺骨突き上げ症候群についてをQ&A形式でご説明しています。
A. 手を着くと小指側の手関節が痛い、ドアノブを回す、雑巾を絞ると痛い。
テニスをしたり、バスケットボールをしたりすると手関節に痛みが生じます。必ずしも、外傷とは関係ありません。
A. 前腕(肘から先)には橈骨(手首の親指側の骨)と尺骨(小指側の骨)の2本の骨があります。
手首において尺骨の方が長い(先天的、橈骨遠位端骨折後に橈骨が短くなり相対的に尺骨が長くなる)と症状が発症し易いと言われていますが、短い方でも発症します。
尺骨と手根骨(手の甲の骨)がぶつかり合い、手根骨の表面を覆う軟骨を痛めたり、関節が炎症を起こして痛みを生じます。
A. 手を尺側(小指側)に倒す(ストレステスト)で痛みが再現されます。
手関節の正面単純レントゲンで尺骨の方が橈骨よりも長い、または、MRIで月状骨の一部の色調が変化します(下の図中の白矢印)と診断になります。
同様に月状骨の色調が変化する病態に月状骨無腐性壊死(キーンベック病)があります。
月状骨無腐性壊死症では月状骨全部の色調変化しますが、突き上げ症候群では一部のみです。
A. 装具をつけ、手関節の尺側に力がかからないようにすると痛みが改善します。
保存的に治療しても改善が得られなければ、外科的な治療となります。
長い尺骨を数ミリ短縮します。
骨癒合が完成するのに3か月程度かかります。その間ご不自由になります。
当サイトを監修している田中利和は、千葉県柏市の柏Handクリニックにて、手(指・手首・ひじ)の疾患に特化した診察・治療を行っております。
2020年の開院以来、手の症状でお困りの多くの方にご来院いただいております。
日本整形外科学会専門医・日本手の外科学会専門医の資格を持った手の専門家として、患者さんと一緒に、より良い治療を一緒に考えていきたいと思っております。