中高年の男性に多い病態です。小指、薬指がしびれてきます。
筋萎縮が手内の筋に生じるとお箸が持ちにくくなり、細かいものがつまめなくなります。原因は肘部分での尺骨神経障害です。肘関節の変形や筋肉隆々のスポーツマンに起こりやすいです。また、子供のころの骨折後の障害でも生じます。
こちらでは肘部管症候群についてをQ&A形式でご説明しています。
A. 2016年1月~2018年6月30日まで通院された新規肘部管症候群の患者さんの年齢分布です。60代後半から70代前半にかけてから増加傾向があります。
A. 126例の性比分布は、下グラフのように男性62.7%、女性37.3%と男性が多い傾向にあります。
A. 小指と薬指のしびれが出てきます。
はじめは気が付かないことがありますが、徐々に進行すると箸が持ちにくくなり、芋や豆を箸でつかもうとすると、うまくいかなくなり、症状に気が付き始めます。
さらに進むと指を伸ばした時に、薬指と小指が伸びなくなってきます。その他にも、針仕事やペットボトルが開けにくくなるといった症状が現れます。
A. 多くの原因は肘関節の変形によるものです。
重労働(建設現場での作業や漁業労働者など)をしている方に多く見られます。また、子供のころに肘をけがした方にも発症しやすいです。
A. 早めに手外科専門医に行くことをお勧めします。同様な神経圧迫で生じる手根管症候群と比較して、肘部管症候群の症状回復は思ったほどよくはありません。早期の治療が必要です。
A. 頸椎に病気があると、同じようなしびれが生じます。頸椎ヘルニア、変形性頚椎症、後縦靭帯骨化症等です。また、上腕部に神経を圧迫する靭帯があることもあります。ここでも同様な症状が出現します。また手首周囲に生じた圧迫性病変や自転車のハンドルでの圧迫障害でも同様な症状が出現します。
A. 保存的な治療は、しびれが主体な時に行います。
私のところでは、夜間肘を伸展位に保つ装具を装着してもらいます。肘のところで圧迫された神経を伸展位に保つことで軽減しています。その他、注射療法(手根管内へのステロイド+局所麻酔剤)消炎鎮痛剤の投与を行っていますが、効果は限定的で、複数回の注射は神経への直接影響も考慮するとお勧めできません。
箸が持ちにくくなったり、つまみ動作が困難になったりするようなら、早めの手術をお勧めします。やせた筋肉を戻すことは困難です。
A. 神経を圧迫しているところだけを切開する単純除圧術、変形に伴う骨棘が原因の場合にはこれら骨棘を削る肘部管形成術、すでに手術既往のある方、重度な神経障害のある方には剥離した筋肉の下に神経を移行することをお勧めします。詳細は手術を担当する先生と確認しましょう。
A. 残念ながら、肘部管症候群には食事療法は無効です。
上記の保存療法や手術での治療が必要となります。
当サイトを監修している田中利和は、千葉県柏市の柏Handクリニックにて、手(指・手首・ひじ)の疾患に特化した診察・治療を行っております。
2020年の開院以来、手の症状でお困りの多くの方にご来院いただいております。
日本整形外科学会専門医・日本手の外科学会専門医の資格を持った手の専門家として、患者さんと一緒に、より良い治療を一緒に考えていきたいと思っております。