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TFCC損傷

目次

Q. TFCC損傷とは?

尺側(小指側)に痛みが出るTFCC損傷

多くは転倒や、体操競技のような手を着くことを繰り返すことにより、小指側(尺側)手関節を形成する尺骨の不安定性と疼痛を生じる疾患です。交通事故や仕事中に起こることもあります。

こちらではTFCC損傷についてをQ&A形式でご説明しています。

Q. TFCCって、何ですか?

A. 三角線維軟骨複合体の略です。
英語でTriangular Fibrocartilage Complex といいます。
手関節の小指側にあるぐりぐりのところあたりにある、軟部組織です。

Q. TFCCは
どんな役割があるのでしょうか?

A.橈骨と尺骨の遠位端同士そして、尺側手根靭帯とを結ぶ靭帯をしています。
前腕の2本の骨の間には、ほかにも複数の靭帯がありますが、遠位であるこのTFCCが断裂すると手関節部分を含めた全体の機能障害が生じます。

Q. どうしてTFCCは
そんなに有名なんでしょうか?
尺側手関節痛は
すべてこれでしょうか?

A. 今まで構造が十分わからなかったTFCCですが、徐々にその機能、痛みの原因が特定され治療法が確立してきたせいで有名になりました。

外科系の先生方は皆ご存知のようですが、内容よりも名前だけが独り歩きしています。
尺側手関節痛の原因疾患はとてもたくさんなります。ぜひ手外科専門医を受診してください。
手外科専門医一覧はこちらをご覧ください

Q. どんな症状が出ますか?

A. 手をつくと尺側(小指側)に痛みが出ます。ものを持つ時に痛みが出たり力が入らないことがあります。ドアノブを回すとき、ものを引くときに痛いです。
この痛みは掌を上に向けると軽減することがあります。

Q. 何歳くらいに多い
病気なのでしょうか?

A. 2016年1月~2018年6月30日まで通院された新規TFCCの患者さんの年齢分布です。
44歳以下が55人とほとんどを占めています。経年的に減少傾向にあります。

Q. 男性と女性どちらに多い
病気でしょうか?

A. 例の性比分布は、下グラフのように男性61例、女性46人と男性が多い傾向にあります。

Q. どうしてこんな症状が
出るのでしょうか?

A. 靭帯がないことによる不安定性から関節の適合性が悪くなります。軟骨同士がぶつかり痛みが出てきます。時に、discという円盤状の軟骨がありますが、これが断裂して痛みの原因になることがあります。

Q. どんな検査をしたらいいでしょうか?

通常は徒手テストが有効です。ビデオは麻酔下の尺骨頭の不安定性です。非常にぐらぐらしています。
また、MRIが有効です。

図は正常者のMRIマイクロスコピーコイル使用時の画像です。☆印がTFCCの尺骨付着部です。

この靭帯がきれるとビデオのようになります。その他、関節造影検査、造影後CT検査等があります。

Q. このままで
症状進行しないのでしょうか?
また、症状を進めないためには
どうすればいいのでしょうか?

A. まずは、手外科専門医を受診することをお勧めします
手外科専門医はこちらからご覧ください) 。

痛みは軟骨の変性が進んで行くことも示しています。橈骨尺骨の動きを正常に近くするために、装具をつけることをお勧めします。
Wrist care proといいまして、橈骨尺骨の動きを制動してくれます
詳細はこちらをご覧ください
可動域が低下するとなくなることが多いです。

Q. 外科的な治療が
必要と聞きますが、
どんなことをするのでしょうか?

A. 手術の多くは、尺骨への付着部損傷の場合です。
2本ある小指側の前腕骨がふらふら不安定になっている際に手術を行います。Discといわれるクッションの部分は経年的に変性する部分であるので、手術頻度は少ないです。

ここでは、尺骨不安定性について説明します。

①縫合術

断裂した靭帯を縫合します。
関節鏡下に縫合する場合や、直接切開して縫合することがあります。
その際にはしっかりと尺骨縫合部の骨を新鮮化して逢着します。TFCCが関節包からはがれて不安定性がある場合は、関節鏡だけで手術は終了します。

②尺骨短縮骨切り術

尺骨が長くて突き上げている際に適応になります。
尺骨を短くすることにより周囲の靭帯が緊張して遠位橈尺関節の安定性が得られます。

③再建術

時間が経過してしまっている場合、隣接している尺側手根伸筋腱の半切を使用してTFCCを貫通、縫合して尺骨に固定します。山王病院中村俊康教授のオリジナル手術です。

どの手術も一定期間(2~6週間)の安静が必要であり、日常生活の不便さを伴います。
術後一定の固定期間後に手関節を動かして始めますが、最初は硬く、術後3か月をかけて柔らかくするつもりで、リハビリをお願いしています。

Q. 治療が怖いのですが、
このままではだめでしょうか?

局所の疼痛を軽減する目的で注射を行うことも可能です。

しかし、繰り返す注射はかえって変性を誘発します。早期に手外科医に相談されることをお勧めします。手外科専門医にご相談ください。

当サイト監修医は
柏Handクリニック院長です

当サイトを監修している田中利和は、千葉県柏市の柏Handクリニックにて、手(指・手首・ひじ)の疾患に特化した診察・治療を行っております。

2020年の開院以来、手の症状でお困りの多くの方にご来院いただいております。

日本整形外科学会専門医・日本手の外科学会専門医の資格を持った手の専門家として、患者さんと一緒に、より良い治療を一緒に考えていきたいと思っております。

>>柏Handクリニックのホームページはこちら


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