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橈骨遠位端骨折

目次

Q. 橈骨遠位端骨折とは?

手関節部分が腫れ、指が動かなくなる橈骨遠位端骨折

中高年者が転倒をすると発症します。手関節部分が腫れ、痛みで指が動かなくなります。
程度が軽いと腫れは少ないですが、痛みが中々引きません。

こちらでは橈骨遠位端骨折についてをQ&A形式でご説明しています。

Q. 橈骨遠位端骨折の
発症年齢は何歳ぐらいですか?

A. 2016年1月~2018年6月30日まで通院された新規の橈骨遠位端骨折の患者さんは2年6か月で301例の年齢分布です。

発症年齢は40歳以下が92例と第1の山、60代から80歳までが第2の山と二峰性です。

若年者はスポーツ損傷に多く、高齢者はこれから始まる「骨折連鎖」の始まりと言われています。

Q. 男女比はどうですか?

A. 301例の性比分布は、男性37.9%、女性62.1%と女性が多くを占めています。

Q. どんな原因がありますか?

A. ほとんどは外傷が原因です。転倒、打撲、交通外傷等が主な発生機序です。

受傷機転はほとんどが過伸展損傷といい手関節を過度に背屈した際に生じます。若年者では舟状骨が骨折することが多く、同様な部位の痛みがあり鑑別が必要です。

Q. 症状はどのようなものが
ありますか?

A. 手関節部分の腫れ、出血、フォーク状変形、可動時痛です。ずれのない骨折では経時的に改善してきますが、ずれのある骨折では疼痛、変形、腫れは改善しません。

Q. 治療はどうしたら
いいでしょうか?

A. 単純なずれの少ない骨折は、保存的にも手術的にも治療は可能です。

可能な限りずれを直しておいた方がいいので、麻酔をかけて整復し、ギプスで固定を行います。期間は4週間程度で、ギプス除去後に取り外し可能なスプリントをつけて、リハビリをしながら日常生活を送ってもらいます。

ギプスは、暑い夏や活動性の高い方にはちょっと辛いかもしれません。 

手術は、転位の程度によりその固定法は異なります。鋼線固定、プレート・スクリュー固定、創外固定法があります。レントゲン、CT等から治療選択を行います。

Q. 骨折の合併症はありますか?

骨折の合併症レントゲン

A. いくつかの合併症があります。

母指伸筋腱断裂

骨折の転位、または手をついた際の衝撃で親指を伸ばす腱が断裂することがあります。骨折の5%程度に合併します。伸筋腱断裂についてはこちらで詳しくご説明しております

手根管症候群

母指、示指、中指のしびれが生じます。夜間に強くなることがあります。5%程度に合併します。手根管症候群についてはこちらで詳しくご説明しております

TFCC断裂、手根靭帯損傷

手関節を形成している尺骨と橈骨の間の靭帯が断裂します。
ぐらついたり、骨折が治ったのに手をつくと痛い。手の中の靭帯が損傷していることがあります。

我々の症例では、30%に併発しています。初期にしっかりと治療すれば、改善します。TFCC断裂についてはこちらで詳しくご説明しております

尺骨突き上げ症候群

橈骨が骨折した場所で短縮して、併存している尺骨が相対的に長くなってしまい、手内の骨を突き上げて痛みが出る病態です。高齢者の保存例に多いです。

Q. 外科的な治療は、
安全でしょうか?
合併症がありますか?

A. もっとも頻度が高い合併症は、感染です。
手術創周囲の細菌が傷につき、化膿して骨折部も含めて膿で埋め尽くされてしまいます。再手術が必要です。

神経、血管が骨折部周囲にありますので、それらが巻き込まれると神経損傷、血流障害がおこり、さらに手術を必要とします。

術後手関節の可動域が低下します。手関節内まで骨折が及んでいる例が多く、関節軟骨のずれや、陥没のおかげで関節が変形に進行してゆきます。疼痛、可動域の低下の原因になります。

Q. 手術で入れたプレートは
抜去した方がいいでしょうか?

A. 現在のプレートやスクリューはほとんどがチタン製で、生体内に置いておいても合併症を起こすことはありません。

もう痛い思いはしたくないとおしゃる方は、抜去しなくてもよろしいかと思います。

プレート設置の位置によっては、腱断裂や手根管症候群(手のしびれを参照)を合併することがあります。

実際に症状のある方やご懸念なされる方は、プレートを抜去することをお勧めします。ただ抜去後3か月は再骨折を生じる可能性があります。十分ご考慮の上お決めください。

当サイト監修医は
柏Handクリニック院長です

当サイトを監修している田中利和は、千葉県柏市の柏Handクリニックにて、手(指・手首・ひじ)の疾患に特化した診察・治療を行っております。

2020年の開院以来、手の症状でお困りの多くの方にご来院いただいております。

日本整形外科学会専門医・日本手の外科学会専門医の資格を持った手の専門家として、患者さんと一緒に、より良い治療を一緒に考えていきたいと思っております。

>>柏Handクリニックのホームページはこちら


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