若年者の手を着いた際に発症する手根骨の一つの骨折です。
放置すると偽関節(骨折が癒合しない)になり、手関節の変形を誘導し、手関節痛が遷延し、動きが制限されます。
こちらでは舟状骨骨折についてをQ&A形式でご説明しています。
A. 2016年1月~2018年6月30日まで通院された新規の舟状骨骨折の患者さんは2年6か月で116例の年齢分布です。40歳以下が63例と多く、若年者のスポーツ損傷や、転倒による受傷が多いです。
A. 72例の性比分布は、男性67.2%、女性32.8%と男性が多くを占めています。
A. ほとんどは外傷が原因です。
転倒、打撲、交通外傷等が主な発生機序です。
受傷機転はほとんどが過伸展損傷といい手関節を過度に背屈した際に生じます。
橈骨遠位端骨折も同様な機序で起こりますが、骨質の低下した高齢者では舟状骨よりも橈骨が先に折れてしまいます。
A. 親指の付け根、または手関節部分の腫れ、出血、可動時痛です。
数週間の経過で改善してきますが、骨癒合しない偽関節状態になってしまいます。
偽関節状態になれば痛みは改善しますが、何かの時に不意に痛みが再現することになります。
A. 単純なずれの少ない骨折は、保存的にも手術的にも治療は可能です。
保存的治療は6週間程度のギプス固定を行います。
暑い夏や、活動性の高い方にはちょっと辛いかもしれません。
手術は、スクリューを皮膚を通して刺入し骨折を固定します。固定期間は少なく、早期に日常生活を獲得できます。しかし、感染、骨癒合不全というリスクがあります。
受傷後、時間の経過ってしまった骨折の癒合していない偽関節では、手術以外の治療法はありません。骨癒合を再起させるために、腸骨(骨盤の骨)や、血管のついた骨を移植させます。
A. もっとも頻度が高い合併症は、感染です。手術創周囲の細菌が傷につき、化膿して骨折部も含めて膿で埋め尽くされてしまいます。再手術が必要です。
次に多いのが、骨折部が癒合したに偽関節です。再手術が必要です。
神経、血管が骨折部周囲にありますので、それらが巻き込まれると神経損傷、血流障害がおこり、さらに手術を必要とします。
術後手関節の可動域が低下します。舟状骨は手を形成している8つの骨の1つで、時計の歯車のよう役割をしています。ひとつが崩れると、手関節全体の動きに変調が生じ、可動域の低下に結びつきます。
当サイトを監修している田中利和は、千葉県柏市の柏Handクリニックにて、手(指・手首・ひじ)の疾患に特化した診察・治療を行っております。
2020年の開院以来、手の症状でお困りの多くの方にご来院いただいております。
日本整形外科学会専門医・日本手の外科学会専門医の資格を持った手の専門家として、患者さんと一緒に、より良い治療を一緒に考えていきたいと思っております。